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【意見投稿】母が病死、知的障害の4歳息子衰弱死 東京・立川の事件に想う。

==編集長より==================================================
本記事は、この意見募集の記事に基づいて投稿いただいたものです。
そのほか皆様からのご意見、ご感想お待ちしております。
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私は大阪の下町で育った。

平屋の府営住宅。
400軒くらいはあっただろうか。

「○○さんとこの子、今度塾に通うんだって」
「△△さんとこ、4月にお子さん生まれるらしいよ」
「××さんの旦那さん、会社クビになったんだって」

子供の頃は、
そこに住む誰もが
他の家族の家族構成はもちろんのこと、
どこの会社で働いてるとか、
どこの学校卒業してるとかみな知っていた。

「個人情報保護」が声高に叫ばれる現代では考えられない時代だった。
(世話好きの大阪の下町ということもあっただろうけど。。。)

夕方日が暮れてからも外で遊んでいると、
「アンタ!早よ家帰らなアカンよ!」と近所のオバちゃんに叱られた。
悪さをしては、隣のおばあちゃんにはしょっちゅう叱られた。

親に叱られ子供ながら
「もう家になんか帰るもんか!」と家出同然で、
三輪車で遠くの廃工場に行き、泣いていたあの日。

「石田さんとこの子、あの辺で見かけたで!」と
すぐに自宅の親に通報され、
夕方には確保されてしまった。

小学校3年生の時、高熱や嘔吐で死にかけていた。
近所のオバちゃんがひっきりなしにお見舞いに来た。

「病気なんか、気持ちで治る!」という私の親は、
めったに病院には連れて行ってくれなかった。

しかし、あるオバちゃんが
「アンタ、これすぐに救急車呼んだ方がエエで!」
「でも、救急車呼ぶと騒ぎになって恥ずかしい。。。」
「そやけど、このままやと死んでまうで。」

そのオバちゃんの旦那さんが車で近くの病院に連れて行ってくれた。
「急性腹膜炎。即手術の必要あり」とのことで、
さらに、大きな総合病院に救急車で緊急搬送。

「あと、1時間遅れてたら死んでいた」とは執刀医の話だった。

わたしは、あのオバちゃんと旦那さんに命を救われた。

1つの「コミュニティ」(Community)がそこにはあった。

ドイツ社会学的にいうところの「ゲマインシャフト」(Gemeinschaft)だった。
地縁や血縁、友情で深く結びついた伝統的社会形態。

しかし文明が進歩し、経済的に豊かになるにつれて、
社会は利益を追求し、
こういった人間関係が疎遠な社会になっていった。
(「ゲゼルシャフト」(Gesellschaft))

成人し、就職し、東京に移居した際、
マンションの隣人もそこに住む誰も知らない世界になっていた。

みな自分のことで精一杯なのか、
自己利益を追求することしか考えなくなったのか、
それはどうだかわからないが、
同じ屋根の下に住む人に対して「無関心」だった。

そこのマンションでは多くの人が雨戸を閉めたままだった。

「個人情報保護」は「プライバシーを守る」概念ではあるが、
もともと「プライバシー権」は、
個人の財産や生命を守ることに端を発した権利である。

しかし、それが拡大解釈され、
人々がプライバシーに関して過敏・過剰になり、
「あらゆるプライバシーを人に知られるのは恥・損・悪」という風潮になっている。

少子化、核家族化、母子家庭、孤独死。

誰もアナタのこと知らなければ、
誰もアナタのことを助けようがないではないか?

この出来事に、
個人情報保護への過剰反応、
利益追求社会の結果的縮図を見た。

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